
法人税 税率のこと、公開します
第二国立劇場は、空中権を隣の高層ビルに七五O億円で売却することで、タダで建築できたのである。
どちらにとっても、メリットの大きい方策だったといえるだろう。
実際に訪れてみればご理解いただけると思うが、空を見上げたときの感動は驚くべきものがある。
発想の転換を図れば「都市」はもっと住み心地のよいところになる。
かすことで、「東京」は新たな魅力を発揮できるはずだ。
一九九五年一月一七日の早朝、突然、神戸を中心に淡路・関西を襲った「阪神・淡路大震災」は、日本人にとって最も記憶に新しい大都市における大災害である。
崩れ落ちた高速道路、壊滅したビルディング、これが現実だろうかという痛々しい風景が生々しく蘇ってくる。
現実に神戸で被災された方は、テレビや新聞で目にされた方も、大都市のもろさや危険性を身にしみて感じたことだろう。
不幸にも命を落とされた方が六三九八人、怪我をされた方が四万七三人、全壊または半壊した住居が二四万八三八八戸。
この被害は、都市に暮らす人間にとって、けっして他人ごとではない現実である。
災害のあとには、政府の危機管理能力を問う大合唱が巻き起こった。
たしかに、救援も対策も後手に回ったと非難されても仕方ない状況だった。
わが国では、災害時にはなぜか現物支給という方策がとられることが多い。
当初、この阪神・淡路大震災でも、仮設住宅の建設や炊き出しなどの対処はなされたが、現金が支給されることはなかった。
衣食住を優先して整えるのは当たり前だが、現金がないことの大変さに政府が気づくまでには、かなりの時間を要した。
自民党では私を含めて四人の国会議員(H氏、A氏、T氏)が動き、一九九八年五月に議員立法で「被災者生活再建支援金法」が成立し、ようやく被災者に生活支援金として一OO万円を支給できるようになった。
ただ、これだけで満足しているわけではない。
起きてほしくはない災害だが、起こってしまってから対応策をつくっていたのでは遅すぎる。
とくに東京や大阪のような大都市は、その機能が停止してしまえば、日本全体が麻揮してしまうのである。
実際に東京で、阪神・淡路大震災級の地震が起きたら、さらに大きな被害を呼ぶのは明らかである。
私自身、いま東京で地震が起きたら、いったいどこへ逃げればいいのか、避難場所さえままならない状態である。
昭和五二年(一九七七年)一O月一六日、参議院議員に当選後、はじめての予算委員会での総括質問で私が取り上げたのは、「都市の防災問題」であった。
冒頭で、F総理(当時)以下関係大臣に質問したのは、自分の居住地区の避難場所について知っているかどうかだった。
そのなかで、当時の労働大臣であったI氏の答えがはっきりと耳に残っている。
氏は「私の家の避難地は多摩川河川敷のK軍グラウンド(当時)ですが、とても逃げられないので、地震があったら死にます!」とおっしゃったのである。
わが家の避難場所がどこなのかはっきりと答えられ、実際にそこまで歩いたことのある方はどれくらいいるだろう。
災害という非常時のなかで行動することを考えると、非常に心もとない。
一応、避難地は地区ごとに決められている。
いざというときに、避難場所として生命を守ってくれるかというと疑わしい点が少なくない。
指定避難所の面積は六九五一万五000平方メートル。
東京都民全員がそこへ避難した場合には、一人あたりの面積が六平方メートル以下となる。
まさにすし詰め状態で、眠ることもままならないだろう。
さらに疑問なのは、避難場所があったとしても、そこにたどり着けるかどうかという問題だ。
東京二三区内八OO万人のなかでも、九万人が指定避難地まで三キロ以上もある避難困難地域に住んでいるのである。
地震はいつ起きるかわからない。
それなのに、大都市を地震から守る効果的な施策はほとんど行われていない。
いまの東京では、財産は、大切な生命を守ることさえ絶望的な状況なのである。
関東大震災の際には、震動で二五万戸が全半壊した。
東京市内(当時)で一三四か所から火の手が上がり、その六割近くが消火できずに燃え広がった。
その結果、四五万戸が焼失、市域の半分にあたる三八平方キロが焼け野原となってしまった。
死亡者一O万人、行方不明四万三OOO人を数えた。
だが、あくまでも試算であり、机上の空論ともいえるので、現実には予測不可能な事態が相当発生すると考えられる。
地震で最もこわいのは火災である。
木造家屋が密集している日本では、いったん火災が発生すれば大惨事を招く。
関東大震災当時より人口が増え、居住区域が広がっているだけに、その被害は大幅に広がることだろう。
また、当時とはまったく異なる新たな火災発生源がたくさんある。
たとえば大正時代にわずか三五OO台だった自動車が、現在では四五六万台も走っている。
この走る火薬庫が、東京の街のあらゆる道路を埋め尽くしているのだ。
地下のガス管も恐ろしい火災発生源であることが、阪神・淡路大震災で明確になった。
東京二三区内の埋設ガス管は、延べ一万七二七一キロに及ぶ。
地震で地殻が動いたら、いっせいに火を噴くことも考えられる。
また現代では新建材やプラスチックが多用され、これらは燃えると有毒ガスを発生することも忘れてはならない。
地下街、ピル街、新幹線をはじめとする鉄道すべてにわたって、関東大震災当時より被害が大きくなることは容易に予測できるのである。
な富や文化といった財産は大切だが、人命はすべてに優先する。
安全でない場所で、快適な生活など実現できるはずがない。
まず緊急に着手すべきは、避難場所の確保である。
現在ある避難地は既成の公園や広場を間に合わせで指定したもので、現実に即したものとはいえない。
少なくとも、避難地までの距離は一キロまでにとどめなければ非常時には行動できない。
足りなければ新たに避難地をつくるべきである。
前述した「市松街区」の考え方は、防災という面でも大きな意味をもってくるのだ。
また、避難地には周囲に火災が起きたときのことを考え、最低限の広さが求められる。
火に強い樹木を植えて、延焼や飛び火を防ぐ必要もあろう。
避難公園の周辺や避難路を不燃化し、安全対策を施すこともあわせて重要となる。
私の予算委員会での問題提起がきっかけとなって、国でも昭和五五年(一九八O年)から避難公園の周囲や避難路に指定された道路に面する建物に関して、不燃化助成金を出す制度ができた(図表5・3参照)。
地震の被害で最も恐ろしい火災を減らすためには、どうしても保存しなければならない文化財などを除き、不燃化する必要があるだろう下町だけではなく、世田谷・杉並といった住宅街においても、危険な木造住宅の密集地は存在する。
非常時に消防車も入れないような狭い道路に、耐火性のない旧来の木造住宅が立ち並んでいるのは危険きわまりない。
たしかに、これらすべての住宅を不燃化するのは困難なことかもしれない田舎に使用頻度の少ない橋をつくり、催し物の行われない文化ホールをつくるより、よほどさし迫った問題である。
木造密集市街地のための向こう一0年間の整備計画を策定し、安全な住環境を整備することは急務である。
また、既存建物の耐震改修工事を促進するために、時限的(五年間)に改修工事費の二分の一を国・自治体で補助することや、低金利の税制優遇措置を講ずることも必要な施策といえるだろう。
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